彼女の黒いワンピース

先日、ポートランダーの彼が奏でるシタールとリードオルガンの音に耳を澄ませ、気持ち良くたっぷり2時間ヴィンヤサヨガで動いたあと、祐天寺まで走るタクシーのなかでポートランドの話しをしていた。ポートランドをわたしは好きだったのかよく分からない。いつも天気が悪くて参っていた。

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でも確実に大切な思い出があるのはあの地だ。毎日コーヒーを飲んだ。ある午後、その日もカプチーノを飲み、そのあと当てもなく街中をぐるぐるぐるぐる歩き回った。ポートランドといったらパウエルズ、というほど街のチャームになっている巨大な本屋も下から上へフロアを隈なく歩き回った。日本のコミックや小説の棚で足を止めた。ツリーハウスの分厚い本を眺めた。ひなびた遊園地を歩いた。大学の構内を歩いた。小さな公園を横切った。モンベルのクマの前を通った。キャンディショップに入って大好きなリコリスを探した。フードカートのメニューを一つ一つ眺めた。閑散としたブリトー屋に入った。夜道は怖くなかった。走ってバスをキャッチした。

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友人が黒いワンピースの話しをしてくれた。彼女の思い出がつまりすぎた服。楽しかったひとときは、手のひらを返すようにあっという間に暴力的にもなる。でも彼女は言っていた。あるときその黒いワンピースをもう一度着てみたら、その黒いワンピースを以前よりも好きになった、と。

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捨てなかったんだ、そのワンピース… と感心して、わたしは途端にポートランドに飛んで行きたくなった。

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次こそマニュアル車に乗って —時速何マイルと言っていたか忘れたけど— とにかくぶっ飛ばしてサンフランシスコまで南下すればいい。なんだかんだやっぱりポートランドは、食べ物も思い出も切なくなるほど誠実で、涙が出るほど美味しいのだから! i love you portland!

 

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@ APPARTEMENT 301 (有楽町)


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