ベジタリアンベトナムフォー

うちの台所に漂ったことのない香りが広がる。甘くたち込めるような。騒がしいスペインのバルで夜にほんの少し口に含んだアニスのような。ロンドンの昼間の中華街の窓に一列にぶらさがる北京ダックのような。生ぬるい空気を泳ぐ多くの人で賑わう台湾の夜市のような。スターアニスと八角が同じものを指すことを最近知った。星型のそれとシナモンとクローブが、芳しく鼻腔を通り抜ける。まるで薬膳料理のようだ。体だけでなく料理をする過程で十分に与えられる静かに感覚を研ぎ澄ませる瞑想的な時間。

自ずと手が伸びた八角にもまた健胃作用があると、いま、この文章を綴っているときに知った。何を食べるべきか、頭で考えなくても体はよくできている。ベトナムで食べたフォーをいつか台所で作ることになるとは思わなかった。わたしの大好きなコロラドの山に住む(いまはもう音沙汰のない)ある女性の、ある日の台所で作られたフォーを一目見て心を射止められたのはもう何年前になるだろう。作りたいものリストにのったまま放置されていたレシピは、昨日のように暖かい陽射しのなか散歩をしている最中に手に入れたミントがきっかけだった。

通常は牛や鶏のあっさりした透明なスープを使うフォー。さっぱりとしていて胃にもたれず、ベトナムの酷暑の中では道端の木陰で赤や青の玩具のようなプラスチックの低いイスに座り、お茶漬けのようにさらさらと胃に流し込んで食べていた。参考にしたベジタリアンフォーのレシピでは、野菜出汁をベースに、八角とシナモンとクローブと玉ねぎと生姜でスープを煮込み、醤油と塩で味を調整していた。これだけだと動物性油脂のコクに欠けるため、油で炒めた椎茸を加える。

このフォーが美しく目に映ったのは、最後にのせていくパクチーやミントや小松菜や小口ネギの鮮やかでふんだんなグリーンハーブ類とライムのさわやかな酸味の香りの豊かさが感じられたからだ。料理を目で味わう。食感が届く。香りが届く。しあわせが届く。わたしたちはそれらも同時に咀嚼して栄養にして生きている。

ベジタリアンベトナムフォー

3〜4人分。参照レシピ: COOKIE + KateのVegetarian Pho

材料

  • 八角(スターアニス)2個
  • シナモン 2本
  • クローブ 3個
  • 玉ねぎ 1個
  • 生姜 ひとかけら
  • 野菜出汁スープ 4カップ
  • 水 4カップ
  • 醤油 大さじ2
  • 米麺(Annie Chun's 玄米ヌードル) 2〜3人分
  • 椎茸 4〜5個
  • 盛り付け:
  • もやし
  • 小松菜
  • パクチー
  • フレッシュミント
  • 小口ねぎ
  • 青唐辛子(オプション)
  • ライム

作り方

  1. 鍋に火をかけ、シナモン、クローブ、八角を入れて3〜4分香り立つまで時々かき混ぜながら炒る
  2. 4等分にした玉ねぎ、生姜、野菜出汁スープ、水、醤油を鍋に加え、火を強くして沸騰したら弱火に落として30分ほど煮込む
  3. スープを煮込む間、ライスヌードルを茹でて水切りしておく
  4. 油をひいたフライパンでスライスした椎茸に塩を振り4〜6分炒める
  5. スープができたら濾して、スパイスや玉ねぎや生姜を取り除き、醤油や塩でスパイスの風味が際立つよう最終調整をする
  6. スープをボウルに注ぎ、米麺を入れ、椎茸やもやしや小松菜やパクチー、ミント、小口ねぎ、ライム、(青唐辛子)など気の向くままに盛り付けをする

Notes

スープの味の最終調整ですが、参考にしたレシピの方はスパイスや生姜の風味が際立つように野菜出汁と水を半分ずつでスープの元を作り、最後に醤油と塩を追加して作っていました。オリジナルレシピのようにミントをたくさん入れましたが、結局わたしにはミントの清涼感が強すぎて味を全部持って行かれてしまうように思いました。次回はミントを入れないと思います。パクチーの代わりにバジルを入れるレシピもたくさんみましたので、バジルでも良いと思います。今回はライムが手に入らなかったので、レモンで代用しました。

http://i-eat.carrots.jp/vegetarian-vietnamese-pho/


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